研究概要 |
本研究では,地球規模の海洋底地殻中の移流を「海底下の大河」と呼び,その固相-液相の境界で起きている生物地球化学作用を明らかにすることを目標としている。特に,A05班では,「大河」で起きている現象を室内実験で検証することを目的としており,そのプロセスを(1)岩石-熱水反応過程と(2)熱水-微生物相互作用過程の2つの素過程に分け,反応の再現と解析を行っている。本年度は採択決定から年度末までの時間が非常に限られていたために,(1)の岩石-海水反応実験出使用する改良型バッチ式実験装置の海洋研究開発機構への新規導入,東大に既設の従来型バッチ式実験装置の改良を行い,さらに海洋研究開発機構のフロー式および高速摩擦式水熱実験装置に改良を行った。(2)の熱水-微生物相互作用実験には,新たにフロー式「熱水循環微生物培養装置」を製作した。それによって,次年度以降に本格的な実験が迅速に開始できるような体制が整った。また,変質鉱物中のアミノ酸の微量分析のルーチン化を行うための,蛍光検出装置の導入を行った。それらと並行して,年度内に研究グループ,および領域全体で研究会を開き,全研究期間を通した綿密な研究計画を構築した。そこでA05班は,(1)固相-波相間の物質の動き,(2)微生物が利用する熱水中の還元物質をいかに作るか,(3)微生物が固相-液相間の物質移動に果たす役割の調査の3つの問題設定を行い,実験によって明らかにしていくことを確認した。
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