計画研究
一連の鉄フタロシアニン伝導体は、典型的なπ-d系の一つであるが、その中でTPP[Fe(Pc)(CN)_2]_2は低温で大きな負の磁気抵抗を示すことが報告されている。この起源は強いπ-d相互作用にあることは明らかであるが、その詳細なメカニズムは未だ完全には明らかになっていない。この系の非線形電気伝導度を幅広い温度磁場領域で詳細に測定し、低温強磁場で伝導度が15T付近から急激に上昇する巨大負の磁気抵抗効果が、π-d相互作用の作る磁気ポテンシャルがこの巨大磁気抵抗効果を引き起こすこと、さらにこの転移により磁気ポテンシャルが距離の関数として変形することを詳細な解析により明らかにした。三角格子スピン系におけるスピン液体状態の実現可能性に関し、これまで様々なアプローチから議論がなされてきた。現在では、等方的三角格子系の基底状態は120°構造と呼ばれる長距離磁気秩序状態であり、スピン液体状態はそれと競合しているものの、エネルギーが高いと考えられている。我々は、強相関極限であるHeisenbergモデルを用いて異方的三角格子スピン系の変分モンテカルロ計算を行い、正方格子型の異方性を持つ場合の基底状態の解析を試みた結果、特徴のある相互作用を含めたモデルを考えない限りスピン液体相が実現しないということを明らかにした。
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