計画研究
テラヘルツ波を励起源に用いて、電子型強誘電体であるTTF-CAおよびα-(ET)2I3の強誘電分極の制御を試みた。分子価数の高速の変調と第二高調波の変調の両者を検出することによって、テラヘルツ波による強誘電分極の高速制御を初めて実証した。水素結合型の強誘電体であるクロコン酸においては、可視光とテラヘルツ波のいずれにおいても、分極の高速制御が可能であることを明らかにした。さらに、一次元モット絶縁体であるハロゲン架橋ニッケル錯体において、テラヘルツ波を励起源とした高速光スイッチに世界に先駆けて成功した。α-(ET)2I3と、強誘電-反強誘電の逐次転移を示すα’-(ET)2IBr2において、テラヘルツ発生を確認した。ポンププローブ実験から、α’-(ET)2IBr2では、近赤外光励起によって強誘電相がより強固になることが示された。電荷秩序系θ-(ET)2CsZn(SCN)4のテラヘルツ分光を行い、電荷秩序ギャップエネルギー近傍の光学伝導素、誘電率スペクトルを室温から液体ヘリウム温度まで決定することに初めて成功し、低温、電荷秩序相では3meV程度の光学伝導度ギャップが開いていること、高温金属相ではドルーデ応答が現れず不良金属とみなせることを明らかにした。低温相において、光励起及びテラヘルツ波励起により電荷秩序を融解させることに成功した。二次元導体(ET)3Br(pBIB) において、世界で初めて角度分解光電子分光に成功し、2次元的なフェルミ面を観測した。また、第一原理計算との比較および観測されたバンド分散の微細構造から、この物質の電子が分子振動との相互作用を繰り込み、フェルミ液体として振る舞うことを明らかにした。擬一次元導体TMTSF2PF6においても同様にフェルミ面の観測に成功し、温度上昇に伴いフェルミ面形状が大きく変化する振る舞いを見出した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (60件) (うち招待講演 17件) 備考 (2件)
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