計画研究
分子そのものの設計・合成を行い、それら自身とそれらの錯体の構造と機能性を検討した。研究代表者らはその光誘起相転移に興味が持たれている(EDO-TTF)_2PF_6とその関連錯体の動的・静的物性の研究を行うとともに、MeEDO-TTFの錯体を系統的に比較検討した。後者については、隣接する分子同士の相対配置と錯体全体の電子構造の相関が明らかになった。分担者(御崎)らは、TTFとTSEが融合した比較的大きなπ電子系を持つドナー(STP誘導体)とその錯体の合成に成功した。これらの内、(ST-STP)ReO_4および(TM-PDS-STP)PF_6(PhCl)が分子内電分離状態をとっていることが示唆された。またEDO-TTF類縁体として一連のEDO-EBDT誘導体の合成に成功した。それらのうち、(DMEDO-EBDT)_2PF_6の結晶育成に成功し、これがEDO-TTF錯体と類似の分子配列をとり、185Kで金属-絶縁体転移を示す事を見いだした。分担者(藤原)らは、光応答性・光電変換機能性を有する物質の開発を目的とし、光応答性部位としてベンゾチアゾール誘導体を組込んだ各種EDT-TTF誘導体の合成を行った。各部位間の相互作用を制御するために、ベンゾチアゾール部位を直接結合させた分子と、アルケンスペーサーを挟んだ分子の合成に成功し、ドナー性や分子内における光誘起電子移動挙動などについて検討を行った。分担者(森田)らは、25π共役電子系骨格を有するトリオキソトリアンギュレン型中性ラジカルの安定性の起源を実験的に明らかにするために、既知分子に導入されていたtert-ブチル基よりも立体保護効果の小さいイソプロピル基やブトキシカルボニル基を持つ誘導体を設計・合成した。これらの誘導体も空気中で安定であることを見出し、不対電子の高い分子内非局在性が分子自身の安定性に大きく寄与していることを明らかにした。
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Sci. Technol. Adv. Mater
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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kanoda_lab/ShinGakuJutsu/index.html