計画研究
昨年度に引き続き、分子の設計・合成を行い、それら自身とそれらの錯体を検討した。研究代表者らは比較的小さなπ電子系を用いた物質開拓を行った。金属状態が多重不安定性を持つ(EDO-TTF)_2PF_6中に、メチル置換されたドナー分子を固溶させた混晶を得た。メチル置換体のモル分率が約0.13の時、元の錯体が示す多重不安定性の内、電荷秩序化不安定性のみが消失した。即ち、多重不安定性の1因子のみを選択的に抑制出来た。分担者(御崎)らは、TTFとTSFが融合した比較的大きなπ電子系を持つST-STPの化学修飾を行い、エチレンジオキシ置換体を合成した。これらに基づく分子性導体の開拓・解析を行った。一例として、(EDO-TS)_2PF_6はβ型ドナー配列を有する金属であり、50K以下で絶縁化することが明らかとなった。また、2分子のTTFが融合した新規TTP誘導体も検討し、メトキシ基を有する誘導体やクロペンテン縮環化合物から新規な分子性金属を開拓した。分担者(藤原)らは、光機能性物質の開発を目的として、ベンゾチアゾール誘導体を組込んだ新規TTF誘導体を合成し、薄膜試料での光電変換機能性を検討した。これらの複合分子は、吸収スペクトルに対応した光電流のアクションスペクトルを与え、光電変換機能性を持つ事を見いだした。さらに、複合分子をM(hfac)_2(M=Cu,Co,Mn,Ni)に配位させた遷移金属錯体も作製し、構造と磁気的性質を明らかにした。分担者(森田)らは、トリオキソトリアンギュレン型中性ラジカルの物性制御や機能探索を目的として、様々な置換基を導入した誘導体の設計・合成を検討した。臭素原子を導入した誘導体の合成と、交叉カップリング反応を基盤にした幾つかの誘導体への変換を実現した。また、立体保護効果が小さいにもかかわらず空気中で安定な中性ラジカルの合成にも成功した。
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