計画研究
1.VLSプロセスによるナノ構造形成と、2.クーロンブロッケイド系での電流電圧特性という二つのテーマに関して、メカニズム解明のための理論研究を行った。1.基板上におかれた金属触媒液滴により結晶成長を促進することで、ナノワイヤ上の単結晶構造を形成するVapor-liquid-solid(VLS)法は実験的に広く用いられており、これまで主に計算機シミュレーションを用いてその普遍的メカニズムの解明に取り組んできた。これにより液滴による結晶促進効果の本質が液-固界面での界面張力低減による臨界核形成率の著しい増加に起因することを突き止め、正常な形状のナノワイヤ成長を効率化するための材料供給圧の最適値が存在することを明らかにした。本年度はさらにシミュレーションにおける表面層での臨界核生成までのクラスターサイズ分布および理論モデルを用いて表面クラスターのエネルギー利得等を詳細に調べることにより、固液界面における界面張力低減の要因を明らかにし、実在系における触媒物質選択に関して示唆を与える結果を得た。2.量子ドットがネットワーク化した回路では、クーロンブロッケイド閾値電圧を伴う非線形電圧電流特性が現れる。この非線形性の起源を明らかにするため、基盤表面ノイズ由来の閾値電圧分布から非線形性が生じるという理論を構築し、電流電圧特性を解析的に導出した。理論解はシミュレーション結果をよく記述しており、ノイズを非線形性の起源とする描像の妥当性が確認された。また、非線形性を特徴付けるために経験的に用いられてきた冪乗則の指数が回路サイズに応じて変化することを我々はシミュレーションにより示していたのだが、幕指数が閾値電圧特性に対応して回路サイズに依存していることを構築した理論によって数理的に明らかにした。
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