研究領域 | 分子ナノシステムの創発化学 |
研究課題/領域番号 |
20111011
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
新海 征治 崇城大学, 工学部, 教授 (20038045)
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研究分担者 |
田丸 俊一 崇城大学, 工学部, 准教授 (10454951)
白木 智丈 九州先端科学技術研究所, ナノテク研究室, 研究員 (10508089)
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キーワード | 多糖 / 分子認識 / 超構造 / 機能創発 / 機能性高分子 |
研究概要 |
本研究では多元的な分子認識過程を制御し、機能性高分子の能動的集積とその集積化に起因して動的に発現する機能の創発(運動特性、光学・電気化学特性の動的変換・制御など)を目指す。 特に本年度は、自己組織能を有する小分子や螺旋状超構造を形成するβ-1,3-グルカン類に刺激応答部位を導入することで、その自己組織体形成や高次構造形成過程のコントロールを行うことを目標に研究を行った。 熱感応性ポリマーであるpolyNIPAMを側鎖に導入したカードラン(CUR-pNIPAM)を合成した。この修飾多糖はカーボンナノチューブ(CNT)を螺旋状超構造の内部に取り込んで水中に分散させることが出来た。この水溶液に近赤外光を照射したところ、CNTの発熱によってpNIPAM部が応答し速やかに凝集することが確認された。この現象は光照射部を限定することで、局所的に発現させることが可能であり、時空間的に高度に制御された分子集積を実現することに成功した。β-1,3-グルカン類の側鎖にアミノ基とカルボキシル基を導入した両性多糖(AmphCUR)を合成した。この多糖は適切なpH条件でDNAと複合化できることが確認された。このAmpHCUR/DNA複合体を磁性ビーズ上に固定化し、交流磁界を照射したところ、pH条件と発熱条件が適正である条件でのみDNAを放出させることに成功した。 π電子系分子の一次元的分子積層を狙って、長鎖アルキル基を導入したアントラセン誘導体を合成した。この分子は想定通り一次元会合する事が確認され、光照射によってアントラセン部を二量化させる事に成功した。さらに、系中にフラーレンを共存させることで、形成するゲルにチキソトロピーを付与することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多糖誘導体系に関しても小分子自己組織体に関しても、当初から想定していた刺激応答的な高次構造形成、分子集合の制御に成功した。また、その過程においてチキソトロピーの発現やドラッグデリバリーシステムへの応用の可能性など、当初の想定を越える成果を挙げることに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果をさらに精査することで、高分子、および小分子の集積やその集積体の刺激応答特性に介在する共同性の有無とその効果を明らかにする。これにより、過渡的に生じる環境変化に応答して、時空間的に特異且つ多様な自己組織化を実現できる分子とその条件を明らかにする。以上を達成した上で、ナノサイズの分子集積を高度なプログラム化を達成する。
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