計画研究
本研究では多元的な分子認識過程を制御し、機能性高分子の能動的集積とその集積化に起因して動的に発現する機能の創発を目指す。アロステリズムに基づく刺激応答型非線形会合の創発により高感度検出系の構築に成功した。グアディジニウムを有するテトラフェニルエチレン誘導体を用いて、会合体形成により発光する会合誘起型蛍光プローブ(TPE)と標的物質(ATP)との協同的な自己集合により、S字型の非線形蛍光応答が得られることを初めて見出し、蛍光応答に閾値が存在して標的物質のON/OFF検出が可能となることを実証した。これはアロステリックな刺激応答型自己組織化の実現により、標的選択性と劇的なシグナル増幅を創発可能であることを示す。カードラン(CUR)の側鎖にアミノ基とカルボキシル基を任意の比率で導入した、両性多糖を開発した。この両性多糖の荷電状態はpH依存的に変化し、等電点を示した。等電点付近では凝集体を形成するが、等電点から大きく離れた比較的極端な酸性・塩基性条件では一本鎖構造に解離し完全に溶解した。興味深いことに、会合体を形成する領域と一本鎖構造に解離する領域の間に存在するごく限られたpH領域において、CUR固有の3重らせん構造を形成することが確認された。この様なpH応答型の構造変換はタンパク質の構造特性と類似していることから、本成果は糖を基盤とする非アミノ酸型人工タンパク質の最初の開発例である。等電点付近で形成する凝集体には、核酸や蛍光性物質などの有機分子を取り込むことができ、それらをpH変化に伴う凝集体の解離・溶解に伴って、放出させることに成功した。同様な物質の複合/解離は熱的にも制御可能であった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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