計画研究
分子ナノシステムにおける創発現象をマクロ電極へ接続し、デバイス化することを目的に研究を進めている。第一の目的は非線形分子素子の開発である。自己組織化した有機集合体、つまり分子ナノシステムと外部接続のためのナノ金属電極を連結し、分子ナノシステムが持つ非線形特殊物性を確認し、この非線形性を応用した有機分子のナノシステムならではの性能を利用した新規素子の開発を行う。また第二の研究目標として制御されたナノ界面において発現する物理・化学現象をデバイス機能として取り込み、分子素子機能向上を目指す。これはすなわち有機/金属界面制御による機能創発となる。第三の目的として構造色原理を抽出したナノ構造を人工的に作製・制御し、構造色の特色を利用した産業応用への展開を考えている。本年度、我々は高配向有機高分子半導体薄膜内の電気伝導にクーロンブロケイド効果を確認し、さらにこの効果が構成有機分子本来の電子反発項によって発現していると示した。低次元性のラジカル分子集合体において、分子のオンサイトクーロン反発項が強く伝導に影響を与えることはよく知られている。我々は今回、有機半導体のような中性分子の集合体における伝導にも分子の電子反発項が強く影響していると提案する。これらの考えはこれまで未解明あった有機集合体における電流の非線形特性や、伝導度の複雑な温度依存性を説明し、電界効果による伝導性変化に異なる解釈を与える。有機材料内の電荷伝導の新たな一面を開拓するものである。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) 産業財産権 (2件)
APPLIED PHYSICS EXPRESS
巻: 4 ページ: 032105-032107
J.Nanosci.Nanotechnol
巻: 11 ページ: 2785-2792
巻: 11 ページ: 2867-2872
巻: 11 ページ: 2873-2881
NANOTECHNOLOGY
巻: 21 ページ: 365601-365608
APPLIED PHYSICS LETTERS
巻: 96 ページ: 043307-043309