研究領域 | 分子ナノシステムの創発化学 |
研究課題/領域番号 |
20111016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50229556)
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キーワード | ナノ電極 / 自己組織化 / 分子エレクトロニクス / バイオチップ / 分子認識 |
研究概要 |
これまで、シトクロムcとMn12核錯体をRedox分子として用いたネットワークにおいて、低次元クーロンプロッケードモデルで良く説明される電流-電圧特性を見出してきた。電流-電圧曲線は閾値特性を示すので、このようなネットワークをデバイスとして用いれば、確率共鳴現象を示すと考えられる。そこで、閾値以下の微弱信号にノイズを重ねて入力し、入力信号の回復を試みた。出力信号の評価方法として、入力と出力の間で相関係数を求める方法と、出力信号をフーリエ変換し、入力と同じ周波数成分のS/N比を求める方法を採用した。相関係数、S/N比ともに、ノイズの振幅の増大とともに立ち上がり、一定値で飽和する特性を示した。シトクロムc、Mn12でともにほぼ等しい特性が得られたことから、酸化還元を行う分子のネットワークでは、普遍的に行うことのできるデバイス動作であると考えられる。 デバイスの電気的特性を明らかにするために、インピーダンス測定を行なった。コール-コールプロットをおこなったところ、きれいな半円形を示し、室温ではRC並列回路であることがわかった。キャパシタ成分の大部分は対向電極間のものである。低温では、R成分が非常に大きくなり、半円形の特性は観測されなかった。従って、低温状態での閾値以下の伝導度は測定不可能なほど低いことがわかった、この結果は、ゼロバイアス周辺での低い伝導度は、クーロン閉塞による本質的なものであり、このデバイス欄値動作を行うスイッチや綱素子として、極めて優れた特性を持っているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の異動により、すぐに利用できるウェットラボがなくなってしまった。現在立ち上げ中であるが、これに伴いDNA以外のポリアニオンなど、研究の中で物質探索的な部分に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
ナノプリンティングにより極電極を形成し、複数入力端子を持つ確率共鳴デバイスとしての動作を目指す。また、研究代表者の移動によるラボの再立ち上げを急いで行い、今年度の研究の遅れを取り戻す
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