次のアプローチで、RBFOXファミリースプライシング制御因子ASD-1とFOX-1の認識配列および組織特異的選択的スプライシング制御機構を明らかにした。 1.トランスクリプトーム解析による標的エクソンの網羅的探索:線虫の野生型株およびasd-1; fox-1の二重変異体の同調したL1ステージ幼虫から抽出した全RNAについて、ポリA+ RNAを精製して大規模シーケンスを行い、約600万の配列タグを得た。これらのタグをゲノムおよびエクソン境界にマップし、エクソンの使用頻度やスプライシングパターンが野生型線虫とスプライシング制御因子変異体で差があると予測される遺伝子、エクソンの一覧表を作成した。 2.標的候補遺伝子のスプライシングパターンの実験的検証:上記1によりasd-1; fox-1二重変異体でスプライシングパターンの変化が予測された標的エクソン候補のうち50個以上について、RT-PCR法により選択的スプライシングの有無や変異体におけるバリアント量の差異を検証し、同変異体でスプライシングパターンが変化する合計38の事象を同定した。 3.標的遺伝子の選択的スプライシングパターンの解析:上記2によりスプライシングパターンの異常が確認された標的遺伝子のうち6個について、蛍光スプライシングレポーターミニ遺伝子を作製し、トランスジェニックレポーター線虫を作製して、RBFOXファミリーの標的エクソンがasd-1およびfox-1依存的にさまざまな組織特異性を示す選択的スプライシング制御を受けることを見出した。 4.シスエレメントの同定:上記2により同定された標的エクソンの周辺に(U)GCAUG配列が高頻度で存在することを生物情報学的解析により見出し、上記3のレポーターミニ遺伝子を用いて、その配列がエクソンとの相対的な位置関係依存的にさまざまな組織特異的な選択的スプライシング制御に必須であること見出した。
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