計画研究
mRNA 3'末端プロセシングを標的とした遺伝子発現調節とRNA品質管理機構の解明を目的として、本研究においては特に次の5つの課題、(1)mRNA3'非翻訳領域に存在するシス因子による遺伝子特異的なポリ(A)鎖分解調節、(2)miRNAをはじめとする機能性RNAによるポリ(A)鎖分解のトランス活性化調節、(3)細胞質ポリ(A)鎖伸長による選択的遺伝子発現調節、(4)ストレスによるグローバルなポリ(A)鎖分解調節、および(5)非標準的ポリA鎖付加酵素によるRNA品質管理・遺伝子発現制御、を研究対象としているか、そのなかで本年度はとくに(1)、(2)、(4)について解析を行った。(1)についてはシス因子UREをもつクルタミン酸受容体GluR2 mRNAの発現調節について解析し、CPEB3がCaflをmRNA上にリクルートすることでポリA鎖分解を促進し遺伝子発現を負に制御することを明らかにした(EMBO J in Press)。また、昨年度よりCPEBについても解析を行い、癌遺伝子c-mycのmRNAの3'UTRに存在するCPEに対し、やはりCPEBがCaf1をリクルートすることでc-mycの発現を負に制御していることを見出した。また、(2)については、本領域の公募班員(脇山班員)との共同研究によりTNRC6とCaf1 deadenylaseおよび癌抑制遺伝子産物Tobとの相互作用について検計をおこたったが、予測された結合は観察されなかった。一方、(4)のストレス時におけるmRNA代謝制御の課題においては、mRMAの安定化保持に関わると考えられるストレス顆粒の形成が、Ataxin-2とUsp10という2つのPAM2モチーフ含有因子によって制御されていることを明らかにし、PAM2の結合相手であるPABPもまたストレス顆粒の形成にかかわることを見出した。また、両者は同じPAM2モチーフ含有因子であろが、Ataxin-2かmRNAの不溶化凝集を促進することでストレス顆粒の形成にかかわるのに対して、Usp10の作用点は異なることも明らかにした。研究分担者は、U7 snRNPの新規構成因子としてhnRNP UL1を同定し、この因子が前年度までに発見していたU7 snRNPの新規機能であるヒストン遺伝子転写抑制能を担う因子であることを示した。また核内ncRNA依存的なパラスペックル構造体の形成が、長鎖ncRNAの選択的3'末端形成機構によって支配されていることを見出し、その一部の機構を解明した。
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