研究概要 |
細胞がどのようにして細胞内外のシグナルに応答し、細胞統御システムを介して、「非対称性」や「多様な細胞機能」を獲得するのか、に関するRNA段階での遺伝子発現制御プログラムに関る分子機構やシグナル伝達経路の詳細は不明であった。 申請者は、高等生物と極めて近い細胞内シグナル伝達経路を有し、細胞形態・極性や細胞周期などの普遍的な生命現象の解明に優れた真核細胞モデル生物である分裂酵母を用いた遺伝学的スクリーニングにより、哺乳動物の増殖・癌化に関与するMAPキナーゼと相同な経路である分裂酵母のPmk1経路、低分子量Gタンパク質RhoAのホモログであるRho1/Rho2などのシグナル伝達分子を世界に先駆けて発見し、細胞形態や細胞極性、細胞質分裂といった<細胞統御>機構に重要な役割を果たすことを報告してきた(Nature 1999,Mol.Biol.Cell 2006,2007,2010)。 さらに、独自の遺伝学的スクリーニングにより、細胞統御シグナルに関わるmRNA結合タンパク質群を同定し、"RNAを介するMAPKシグナルフィードバック制御"、“MAPKシグナル依存的なミオシンRNAを介する細胞周期の制御"など、画期的なメカニズムを提唱してきた(Nature 2003,Mol.Biol.Cell 2006,2007,2009,2010)。また、同定したmRNA結合タンパク質が、シグナル依存的に「RNA顆粒」に局在し、標的mRNAの制御に関わることも明らかにしている
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