計画研究
昨年度までの解析から、ウイルスRNAセンサーであるRIG-I-like receptor (RLR)によるRNA識別に関与する分子内ドメインを明らかにし、特にRIG-IとLGP2についてはそれらのC末端領域(CTD)が重要な役割を担っていることを明らかにした。これらの知見をもとにして、RIG-I CTD近傍をエピトープとする抗RIG-I抗体を新たに作製し、ウイルス感染に応答したRIG-Iの細胞内局存在について検討を行った。その結果、RIG-Iは通常は細胞質内に分散して発現しているが、ウイルス感染によって非自己RNAが細胞質に出現すると、細胞質内で凝集体を形成していることが観察された。また、この凝集体の形成はRIG-Iを介したシグナル活性化と非常によく相関していた。さらに興味深いことに、この凝集体には内在性mRNAの品質管理に関る分子が共局在していることを見いだしたことから、この凝集体が自己と非自己RNAの識別に深く関与している可能性が示唆された。次年度以降に、この凝集体の実体解明と生理機能について解析を続ける予定である。一方で、ミトコンドリア上に発現しRIG-Iの下流で機能するアダプター分子であるIPS-1についても、同様に細胞内局在について解析した。その結果、RIG-Iが活性化するのに伴って、一部のミトコンドリア上にIPS-1が集積すると共に、上記したRIG-Iの形成する凝集体の周囲に集合していることが観察された。このIPS-1の特徴的な挙動の制御に関与する分子として、Mitofusin1を同定し、この分子が実際に非自己RNAに応答したIPS-1のミトコンドリア上での局在変化を正に制御していることを明らかにした。今後、これら一連の細胞内局在制御を分子レベルで明らかにすることにより、RLRによる細胞機能制御に迫りたいと考えている。
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