計画研究
細胞の消化器官であるリソソームへは細胞外からエンドサイトーシス経路、細胞質からオートファジー経路が物質を運び込み、それらの物流システムによって、何が・いつ・どれだけ分解されるか、が巧妙に調節されている。本研究は、感染症やがん等の疾患とオートファジーの関係を解析し、それらの病態理解を促進することを目的とする。またエンドサイトーシス経路については、大理石病の原因となるエンドソーム結合タンパク質の機能解析を中心に研究を進める。本年度は以下の成果を得た。1. 感染症とオートファジーA群レンサ球菌を捕獲するオートファゴソームの形成に、通常のオートファゴソーム形成には関与しないロジスティクス制御因子Rab7が必須であることを報告した。2. がんとオートファジー発がん抑制能を持つオートファジー関連タンパク質Beclin1に結合するAtg14Lの役割が、Beclin1を含むPI3キナーゼ複合体を小胞体膜に局在化させることであることを見出した。PI3キナーゼ複合体が小胞体の局所でPI3Pを産生すると、そこでオートファゴソームが形成されるものと思われる。長年の論争となっているオートファゴソーム膜の起源解明に向けた大きな一歩である。3. 大理石病とオートファジー大理石病の原因遺伝子PLEKHM1を含む、新規rab7結合モチーフを共通に持つタンパク質ファミリーの存在を明らかにした。4. 化合物スクリーニングサルモネラの細胞内増殖を指標にオートファジーを定量するハイスループットスクリーニングシステムを開発し、本領域計画班の清水らが持つ低分子化合物ライブラリーを用いオートファジーに影響を与える化合物の探索を行った。現在までにオートファジーを阻害する3つの化合物を同定している。また清水らと共同で化合物チップによるオートファジー関連タンパク質群に結合する化合物のスクリーニングを行い、3化合物を同定した。
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