AP-1B欠損マウスの解析Apc^<Min>マウスはAPCに変異を持つ家族性大腸ポリポーシスのモデルマウスで、大腸癌の自然発生が見られる。リアルタイムPCRならびにウエスタンブロッティングの結果、Apc^<Min>マウスの大腸腫瘍組織、およびAPCの欠失変異を持つヒト大腸癌細胞株SW480細胞の両者において、AP-1Bの特異的なサブユニットであるμ1Bの遺伝子レベルならびにタンパク質レベルでの発現量の低下が認められた。μ1Bの発現低下と相関して、Apc^<Min>マウスの腫瘍部ならびにSW480細胞においてはβ-cateninの細胞膜から細胞質への移行が認められた。さらにヒト大腸癌組織においても、μ1Bの発現低下とβ-cateninの核移行との間に相関が認められたことから、AP-1B欠損による上皮細胞の極性維持機構の欠失は大腸がんの発生と大きな関わりがることが示唆された。GP2およびM-Secの機能解析 M細胞特異的に発現するGP2ならびにM-Secに関しては以下の進展があった。マウスGP2と結合するRNAアプタマーの親和性を、ラジオアイソトープラベルしたアプタマーを作成することにより測定した。その結果、Kd=769nMであった。また、GP2結合アプタマーの立体構造モデルをシミュレーションした結果、2つのループ構造を持つと予測された。2つのループ部位の変異体を作成してGP2との結合を調べた結果、ループの一方の構造がGP2との結合に重要であることが示唆された。 TNTの形成阻害能をもつM-Secに関しては、X線結晶構造解析を行った。また、M-Sec結合化合物との共結晶による結晶構造解析も開始した。
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