研究実績の概要 |
AP-1B欠損マウスの腸管上皮細胞ではE-カドヘリンが側基底面細胞膜に局在できず、それに伴いE-カドヘリンと複合体を形成するβ-カテニンが細胞質から核へと移行し、増殖シグナルを更新させていることを明らかにした(論文投稿中)。 また、AP-1B欠損マウスでは上皮細胞の増殖維持に重要な働きをする上皮細胞間Tリンパ球(IEL)が、特に小腸で著しく減少していた。IELはT細胞抗原受容体の違い(αβあるいはγδ)や、コレセプターであるCD4, CD8αβ, CD8ααの発現の有無により複数のサブセットに細分されるが、すべてのサブセットに現象が見られた。血中から腸管へ移行してきたIELの上皮内経に維持には、IEL上のαEβ7インテグリンと上皮細胞上のE-カドヘリンの相互作用や、IL15-IL15Rの刺激が必要とされている。後者の相互作用では、上皮細胞はIL-15のみならず、IL-15Rα鎖もIELに供給することが知られている。AP-1Bの欠損による上皮細胞でのE-カドヘリンやIL-15Rの局在異常、IL-15の分泌異常がIELの減少に寄与する可能性が示唆される。 ssDNAライブラリーを用いたGP2結合アプタマースクリーニングに関しては、高親和性のGP2結合アプタマーは得られていない。 一方、OVAと抗GP2抗体との融合分子を用いた免疫反応においては、より少量のOVAでマウスに免疫寛容を誘導できることから、抗GP2抗体との融合タンパク質は、より効率的な経口免疫や経口ワクチンのデザインに有効であることが示唆された。
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