これまでにヒトHP1結合に結合する約20種類の新規因子をプロテオミクスにより見いだしていた。20年度はそれらの中で、特異な結合様式を示すPOGOZ (SUHW5) に特に着目して解析を進めた。POGOZは、RNA干渉法により機能阻害祖行うと姉妹染色体合着、キネトコア形成、M期チェックポイント機能が欠損する。本研究計画で解析を進めるにあたっての基盤を整えるために、1) POGOZのモノクローナル抗体の作製、2) POGOZ結合因子 (POGOBP1、POGOBP2) のクローニングおよび抗体作製、3) POGOZのファミリー因子 (SUHW1、2、3、4) のクローニングおよび抗体作製、を行った。さらに、POGOZの染色体上での結合領域を見いだすためのchromatin免疫沈降法の検討を行った。並行して、POGOZ以外の新規HP1結合因子2種類について、クローニング、抗体作製、RNA干渉法による機能解析を行い、1種類はHP1の局在化の促進、もう1種類はX染色体の不活性化に関与することが示唆された。また、これまでHP1-alphaを中心に結合因子の探索を行ってきたが、ほかのサブタイプであるHP1-beta、-gammaについて特異的な結合因子の探索を行うための細胞株の構築を行った。さらに、染色体の核内配置を決定する新規核膜蛋白質を探索するために、既存の核膜蛋白質7種類にタグを付加したものを発現する細胞株を樹立し、可溶化、免疫沈降できる系を開発した。
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