• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

シミュレーションによる生命情報の場の再現

計画研究

研究領域遺伝情報収納・発現・継承の時空間場
研究課題/領域番号 20114008
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

木村 暁  国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 准教授 (10365447)

キーワード遺伝情報場 / コンピュータシミュレーション / 細胞核 / 線虫 / 染色体
研究概要

線虫C. elegansの初期胚をモデルとして、細胞核内で遺伝情報を取り巻く環境について空間的視点から定量化し、遺伝情報場の理論を提唱することを目的とする。本研究では遺伝子収納の場である核の大きさに着目する。当該年度での成果は以下の通りである。
(1)線虫C. elegansの初期胚発生過程における細胞分裂期の染色体の凝縮について解析を行っている。前年度までに、核の大きさと染色体の凝縮とに相関があることを見いだしていた。本年度は、この線虫で得られた知見の一般性を検討するために、アフリカツメガエルにおいて検討を加え、同様の傾向を示すことを明らかにした(同じ新学術領域内の共同研究)。
(2)線虫C. elegansの初期胚発生過程における染色体の動態を可視化・定量化した。前年度までに得られていた知見の一般性を検討するために、異なる染色体領域の動態の可視化・定量化を行った。また、この動態についてコンピュータシミュレーションで再現することを試みた。発生に伴い変化する細胞核の大きさで説明できる部分と、できない部分があり、染色体の可動範囲が発生とともに劇的に変化することが示唆された。
(3)細胞周期において染色体分配を行う分裂期では、染色体を取り巻く場が大きく変換することが示されているが、その変換の一つして染色体分配を司る紡錘体の主な構成成分であるチューブリン蛋白質の局在化が生じることを線虫C. elegansにおいて明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目標として掲げていた細胞核の大きさと染色体の凝縮あるいは染色体の動態の関連については、おおむね計画通りに進展した。さらには、細胞周期における細胞核場の新たな変換機構を見いだしたり、シミュレーションにおけるパラメータ推定の方法を確立したり、計画以上に進展した部分もあった。

今後の研究の推進方策

平成24年度が最終年度となることから、これまで得られた知見をまとめて論文発表することを意識して取り組みたい。研究の進展に伴い、予想を超える興味深い知見も得られていることから、これらの点についても丁寧に解析を行い、当初の計画とすりあわせながら今後の同分野の基礎となるような考察を行いたい。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] A high-resolution shape fitting and simulation demonstrated equatorial cell surface softening during cytokinesis and its promotive role in cytokinesis.2012

    • 著者名/発表者名
      Koyama H. et al.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 7 ページ: E31607

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0031607

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A cellular funicular: a hydrodynamic coupling between the anterior- and posterior-directed cytoplasmic flows.2012

    • 著者名/発表者名
      Niwayama R, Kimura A.
    • 雑誌名

      Worm

      巻: 1 ページ: 71-75

    • DOI

      10.4161/worm.19039

  • [雑誌論文] Regulation of interkinetic nuclear migration by cell cycle-coupled active and passive mechanisms in the developing brain.2011

    • 著者名/発表者名
      Kosodo Y. et al.
    • 雑誌名

      EMBO J.

      巻: 30 ページ: 1690-1704

    • DOI

      10.1038/emboj.2011.81

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The hydrodynamic property of the cytoplasm is sufficient to mediate cytoplasmic streaming in the Caenorhabiditis elegans embryo.2011

    • 著者名/発表者名
      Niwayama R. et al.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 108 ページ: 11900-11905

    • DOI

      10.1073/pnas.1101853108

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Breakage of the nuclear envelope by an extending mitotic nucleus occurs during anaphase in Schizosaccharomyces japonicus.2011

    • 著者名/発表者名
      Aoki K. et al.
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 16 ページ: 911-926

    • DOI

      10.1111/j.1365-2443.2011.01540.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A novel mechanism of microtubule length-dependent force to pull centrosomes toward the cell center.2011

    • 著者名/発表者名
      Kimura K, Kimura A.
    • 雑誌名

      BioArchitecture

      巻: 1 ページ: 74-79

    • DOI

      10.4161/bioa.1.2.15549

  • [学会発表] Constructing Cell Model, to Study the Spatial Organization of the Cell.

    • 著者名/発表者名
      木村 暁
    • 学会等名
      The 49th Annual Meeting of the Biophysical Society of Japan
    • 発表場所
      兵庫大学
    • 招待講演
  • [学会発表] データ同化を用いた線虫C. elegansにおける細胞質流動の発生メカニズムの解析

    • 著者名/発表者名
      木村 暁
    • 学会等名
      第61回理論応用力学講演会
    • 発表場所
      東京大学
  • [学会発表] The width-length relationship of mitotic spindle in Caenorhabditis elegans embryonic cells: quantification and implications for the regulatory mechanism.

    • 著者名/発表者名
      木村 暁
    • 学会等名
      Biophysical Society 56th Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego Convention Center, USA
  • [備考] 細胞建築研究室HP

    • URL

      http://www.nig.ac.jp/section/kimura/kimura-j.html

  • [備考] 細胞内流動をコンピュータシミュレーションで再現

    • URL

      http://www.nig.ac.jp/Research-Highlights/986/538.html

  • [備考] ジャポニカス分裂酵母で見いだされた型破りの核分裂

    • URL

      http://www.nig.ac.jp/Research-Highlights/986/929.html

  • [備考] 細胞の硬さを推定する新しい方法の開発

    • URL

      http://www.nig.ac.jp/Research-Highlights/992/1034.html

  • [備考] 生物学の基盤を、物理学と数理科学を駆使して解析

    • URL

      http://www.nig.ac.jp/section/intindex/int-t10.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi