計画研究
1) NaClへの化学走性学習に異常のある変異体のスクリーニングで得られた変異体のひとつを解析したところ、その原因遺伝子casy-1が哺乳類のカルシンテニンのホモログであることがわかった。カルシンテニンはアルツハイマー病の主要な原因遺伝子であるアミロイド前駆蛋白質(APP)と三者複合体を形成する膜貫通蛋白質である。細胞外領域にはカドヘリンドメインとLG/LNSドメインをもつ。レスキュー実験により、化学走性学習のためにはcasy-1がNaClを受容するASER感覚神経に発現していることが必要だとわかった。一方、CASY-1蛋白質はAPPと同様プロセシングを受け、化学走性の可塑性に必要なのは細胞外ドメインの一部分であることがわかった。つまり、ASER神経で切断され、遊離された細胞外ドメインが学習に必須である。この結果は哺乳類のカルシンテニンやAPPの機能の理解に貢献するものと思われる。2) 共同研究により、化学走性学習の記憶保持に哺乳類の記憶学習に関わるNMDA型グルタミン酸受容体のホモログ、nmr-1/2が必須であることを明らかにした。nmr-1またはnmr-2変異体は記憶の維持が短い。レスキュー実験の結果、mmr-1/2はRIM介在神経で働くことが示唆された。なお、本年度予算により、蛍光のレシオイメージングの設備のセットアップに成功し、これを用いたイメージングによる神経活動の測定を開始した。また、詳細な局在解析とリアルタイム解析のための共焦点顕微鏡が年度末に納品された。次年度以降、これらの装置を活用して研究を進展させる。
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