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2008 年度 実績報告書

化学走性行動と連合学習の分子神経機構の解明

計画研究

研究領域神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学
研究課題/領域番号 20115002
研究機関東京大学

研究代表者

飯野 雄一  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40192471)

キーワード脳・神経 / 神経科学 / 行動学 / 線虫 / 化学走性学習 / カルシンテニン / アルツハイマー病 / NMDA受容体
研究概要

1) NaClへの化学走性学習に異常のある変異体のスクリーニングで得られた変異体のひとつを解析したところ、その原因遺伝子casy-1が哺乳類のカルシンテニンのホモログであることがわかった。カルシンテニンはアルツハイマー病の主要な原因遺伝子であるアミロイド前駆蛋白質(APP)と三者複合体を形成する膜貫通蛋白質である。細胞外領域にはカドヘリンドメインとLG/LNSドメインをもつ。レスキュー実験により、化学走性学習のためにはcasy-1がNaClを受容するASER感覚神経に発現していることが必要だとわかった。一方、CASY-1蛋白質はAPPと同様プロセシングを受け、化学走性の可塑性に必要なのは細胞外ドメインの一部分であることがわかった。つまり、ASER神経で切断され、遊離された細胞外ドメインが学習に必須である。この結果は哺乳類のカルシンテニンやAPPの機能の理解に貢献するものと思われる。
2) 共同研究により、化学走性学習の記憶保持に哺乳類の記憶学習に関わるNMDA型グルタミン酸受容体のホモログ、nmr-1/2が必須であることを明らかにした。nmr-1またはnmr-2変異体は記憶の維持が短い。レスキュー実験の結果、mmr-1/2はRIM介在神経で働くことが示唆された。
なお、本年度予算により、蛍光のレシオイメージングの設備のセットアップに成功し、これを用いたイメージングによる神経活動の測定を開始した。また、詳細な局在解析とリアルタイム解析のための共焦点顕微鏡が年度末に納品された。次年度以降、これらの装置を活用して研究を進展させる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] CASY-1, an ortholog of calsyntenins/alcadeins, is essential for learn ing in Caenorhabditis elegans2008

    • 著者名/発表者名
      Ikeda, D. D., Duan, Y., Matsu ki, M, Kunitomo, H., Hutter, H., Hedgecock, E. M, lino, Y.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105

      ページ: 5260-5265

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Caenorhabditis elegans DYF-11, an orthologue of mammalian Traf3i pl/MIP-T3, is required for sensory cilia formation2008

    • 著者名/発表者名
      Kunitomo, H., Iino, Y.
    • 雑誌名

      Genes to Cells 13

      ページ: 13-25

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Memory in Caenorhabditis elegans Is Mediated by NMDA-Type Ion otropic Glutamate Receptors2008

    • 著者名/発表者名
      Kano, T., Brockie, P. J., Sassa, T., Fujimoto, H., Kawahara, Y., lino, Y., Mellem, J. E., Madsen, D. M., Hosono. R., Marica. A.V.
    • 雑誌名

      Current Biology 18

      ページ: 1010-1015

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular and cellular mechanisms of salt chemotaxis learning in Celegans2009

    • 著者名/発表者名
      飯野雄一
    • 学会等名
      Janelia Farm Research Conference
    • 発表場所
      ワシントン
    • 年月日
      2009-03-10

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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