計画研究
動物は、外界からの様々な情報を中枢神経系で処理し、環境に適切に応答している。このような情報処理は、多数の神経細胞で構成された神経回路の構造に依存しているが、常に同じように行われているわけではない。とくに、情報処理が、環境変化に適応したり経験などによって変化したりするためには、中枢神経系において柔軟に制御される必要がある。我々は、単純な神経回路を持つ線虫C. elegansの行動を指標にして、高次神経機能の元になる情報処理の素過程を、分子レベルと神経回路レベルとを結びつけて明らかにすることを目指している。線虫C. elegansを用いて選択的注意に類似した行動が観察できるか解析を行った。温度に対する応答と化学物質に対する応答とを組み合わせて解析したところ、温度に対して応答している際には、それ以外の物質に対する応答が下がっている可能性が示唆されたことから、線虫においても選択的注意に類似した現象がある可能性があると考えられる。また、光刺激によりニューロンの応答を制御することが可能なチャネルロドプシン(ChR2)やハロロドプシン(NpHR)を線虫のニューロンに発現させ、刺激を制御するための条件を決定した。これに基づき、ChR2やNpHRを刺激するための光刺激装置を、高速共焦点顕微鏡と組み合わせたシステムを設計した。これにより、光刺激により線虫の神経活動を人為的に制御し、それに依存した中枢神経系全体での神経活動の可視化が可能になると考えている。
すべて 2008 その他
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Genetics 180(2)
ページ: 785-796
神経の分化, 回路形成, 機能発現(蛋白質 核酸 酵素 2008年3月号増刊) 53(4)
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http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~bunsiide/