計画研究
計測と数理的解析・モデル化により、C.エレガンスに2種類の誘引性感覚刺激を同時に与えた場合の行動選択の神経系制御機構を中心とした研究を行った。1.2誘因刺激を異なる位置に同時提示した条件下での一匹の虫の行動を解析するソフトウエア開発を進め、誘因物質と誘因温度の同時提示に対する野生種の行動解析に適用してほぼ実用的レベルであることを確認した。また、行動解析および細胞内Ca^<2+>濃度変化計測により、塩刺激と匂刺激の情報が神経系内部で相互作用することを確かめた。2.匂と塩の同時提示及び温度と塩の同時提示に対するに対する行動変異体の行動解析を進めた。以上、1、2については、論文を準備中である。3.線虫神経回路の特徴を取り入れた行動選択の数理モデルを構築しつつある。4.分担者岩崎唯史は、領域代表飯野の研究室で記録されたカルシウムイメージングデータを説明する神経回路モデルを構築することを目的として、少数ニューロンからなる回路モデルを作成し量的に解析して発表した。各ニューロンは数種類のイオンチャネル、カルシウムポンプ、カルシウムバッファーを含み、ギャップ結合と化学シナプスを介してニューロン間の情報伝達が行われる。改善すべき点を残すが実験事実をかなり再現できるモデルとなっている。5.線虫の全ニューロン(302個)を考慮したモデルを目指して回路構築を進めた。感覚刺激に対して正しく前進/後退する回路の作成を初めの目標として、約100個のニューロンからなる回路で線虫の移動運動と感覚刺激に対する応答をシミュレートすることにある程度成功した。この過程で、ノイズ入力に対して回路が準周期的な振る舞いをすることを見出して、学会発表を行った。この現象の原因となる部分回路の同定、及び走性行動を説明するモデルへの改良を進めた。
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Lecture Notes in Computer Science (Springer-Verlag)
巻: 6443 ページ: 17-24
http://ims.dse.ibaraki.ac.jp/research/C_elegans.html