計画研究
(1)CREB転写活性の検出システムの構築ショウジョウバエの長期記憶にも転写因子CREBが必要であると考えられている。CRE配列を12回タンデムに結合した制御領域を、蛋白分解配列を付加した改変GFP蛋白質の上流に置いた。CREBは発生初期から様々な局面で機能する遺伝子であるために、その活性に影響されず、匂い記憶学習においての活性を検出するために蛋白質分解を促進する配列を改変GFP蛋白質に結合し、半減期2時間の短寿命改変GFP蛋白質をコードするデザインとした。キノコ体を構成するKenyon細胞群の中で主にγ細胞でのシグナルの増強が観察された。シグナルは学習後4時間でピークを迎え、それ以降naiveに比べてむしろ低くなっており、抑制効果が働くことを示唆している。電気ショックあるいは匂い刺激だけを与えた、あるいは間隔を開けない学習を繰り返した個体(長期記憶は形成されない)ではnaiveと同等あるいはそれ以下のシグナルを観察したことから、リポーターシグナルの増加は長期記憶に特異的であると思われる。また、ポジティブコントロールとしてPKAを活性化するForskolinおよびPhosophodiesteraseの阻害剤であるIBMXを投与したところ大幅なシグナルの上昇が観察され、本シグナルはcAMP/PKAシグナル系により活性化されることが示唆された。実際、このシグナルの上昇は、CREB結合配列に変異を導入したり、抑制型CREBを発現することで抑えられることから、CREBの転写活性に依存していると考えられる。(2)CREBのターゲット遺伝子の同定上記のように長期記憶形成においてCREBは必須の転写因子であることから、そのターゲットを探索した。長期記憶形成後のキノコ体の全mRNAのシークエンスを行い、間隔を開けない学習を繰り返したキノコ体由来のそれと比べることにより100以上の遺伝子を同定した。現在その遺伝子群の解析を行っている。(3)視覚系および嗅覚系の神経細胞の形成、軸索投射における分子機構の解明を行った。
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