計画研究
本研究では、透明なゼブラフィッシュ幼魚を用い、トランスジェニック技術により特定のクラスの神経細胞を生きたままラベルできる利点をフルに活かして、脊椎動物脊髄運動系神経回路の動作原理解明を明らかにしていくことを目的としている。この目的のため、脊髄内のさまざまなクラスの神経細胞で、蛍光タンパク質、組み換え酵素Cre等を発現するトランスジェニックフィッシュを作製し、脊髄内神経回路の全般的な解剖学的解析を進めた。特に、転写因子Chx10を発現する細胞に関して詳細な解析を行った。これまでの電気生理学的な解析により、脊髄Chx10細胞は遊泳行動時に同側の運動ニューロンにフェージックな興奮性入力をすることを明らかにしている。Chx10細胞群の遊泳行動における役割をさらに解析するために、Chx10発現細胞にチャネルロドプシンを発現する魚を作製し、様々な領域に光照射を行った。その結果、後脳の後方部から脊髄の前方部にわたる領域において、光刺激により遊泳行動の誘発が可能であることが示された。特に後脳後半部は光刺激に最も強く反応した。また、カルシウムイメージングや電気生理学的解析により、後脳Chx10細胞が仮想遊泳行動時に活動することを明らかにした。この結果は、脊髄のChx10細胞群に加えて、後脳後半部のChx10細胞群も遊泳行動に重要な役割を果たしていることを示唆している。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (2件)
Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)
巻: 108 ページ: 1164-1169
巻: 108 ページ: 5425-5430
Development
巻: 138 ページ: 1143-1152
Nature Neuroscience
巻: 13 ページ: 1354-1356
Science
巻: 328 ページ: 1561-1563
J.Physiology
巻: 588 ページ: 2017-2021
Developmental Biology
巻: 343 ページ: 1-17
巻: 340 ページ: 583-594