本研究では,「モデル小動物に基づくシステム分子行動学研究」に資する技術の創製を目的として,新しい遺伝子コード型の分子プローブの開発研究を行うことを目的としている. 計画全体の目標としては,小動物の神経細胞において極めて重要が高い環状核酸等の動態のイメージングを実現する遺伝子コード型の単色蛍光プローブの開発,モデル小動物の任意の特定細胞において細胞内シグナル伝達の光制御を実現する分子プローブの開発等を掲げている. 平成24年度においては,前年度までに開発を進めてきた環状核酸の単色蛍光プローブの候補物質に対してアミノ酸変異を導入し,その輝度を大幅に向上させた.当該蛍光プローブを導入したトランスジェニック線虫を作製し,当該プローブが線虫の神経細胞における環状核酸の生成をイメージングできることを示した.さらに,メモリーとしての機能を有する当該プローブは,固定・保存処理を施した線虫の標本において,少なくとも数週間以上にわたって,線虫の神経細胞で生起した環状核酸の生成に関する情報を保持することを示した.また,光受容体に大幅に改変を加えることにより,前年度までに開発を進めてきた光スイッチタンパク質について,これを用いて,細胞遊走などの様々な細胞機能を光で制御できることを示した.
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