研究領域 | 神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学 |
研究課題/領域番号 |
20115009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増田 直紀 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40415295)
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研究分担者 |
大久保 潤 京都大学, 情報学研究科, 講師 (70451888)
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研究期間 (年度) |
2008-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | ネットワーク / 統計物理学 / 確率過程 / ランダム・ウォーク / 走性 / 学習 |
研究実績の概要 |
レスティング状態のヒトの脳のネットワークは、複数の脳領域の複雑な相互作用からなり、記憶、注意などを含む様々な脳の認知的機能に寄与すると考えられている。ところが、このネットワークの複雑さの程度は今まで定量化されていなかった。それを明らかにすることによって、より詳しく脳活動の状態や脳のネットワークについて知ることができると考えられる。 そこで、我々は、最大エントロピー法という理論的手法を用いて、脳ネットワークの複雑性を定量化した。我々が用いたクラスののモデルは、ボルツマンマシンなどとも呼ばれ、各脳領域固有の活動と脳領域のペアの間の結合の強度を考慮した、統計的な手法である。我々は、データ解析の結果として、最大エントロピー法は、脳のネットワークを頑健的にかつ高い精度で推定できることを明らかにした。さらには、本モデルから推定された領域間の結合の強さは、解剖学的に決められた結合強度に、既存の手法と比べてよりよく合致していることが明らかにされた。特に、ピアソン相関係数を用いて領域間の結合強度を推定することはよく行われているが、その場合よりも我々の手法はよりよく結合強度を推定できることが明らかにされた。それは、最大エントロピー法では第三の領域に起因する見かけの相関を排除しやすいからである、と考えられる。 本手法は現時点ではノード数が少ない全脳のネットワークに適用されたものであるが、今後の展開としては、手法を改良してより多くのノード数をもつネットワークに適用すること、線虫などの小さい動物に対して手法を適用すること(神経細胞集団の発火時系列については、すでに同手法は用いられている)、因果性を考慮した数理モデルを開発すること、などが挙げられる。
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現在までの達成度 (段落) |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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