本研究は、GSC/ニッチ・システムを構成するGSC、ニッチ細胞、ニッチの場の形成機構の解明を目標とする。平成21年度は、1)細胞外マトリックスの主要な構成分子の一つであるヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)遺伝子であるdally、dally-likeが、それぞれ雌および雄のニッチ細胞において機能することにより、ニッチの場を規程することを明らかにした。この成果の一部は、論文発表を行なった。2)生殖巣におけるニッチ細胞の形成に関わるシグナル伝達経路のコンポーネントの発現およびそれらの機能を突然変異を用いて明らかにする研究を引き続き行ってきた。その結果、雄では受容体型チロシンキナーゼであるSevとEgfrが、雌ではBtlが、生殖巣の後半部で発現しニッチ細胞の形成を抑制することで、ニッチ細胞が生殖巣前半にのみ形成されることが明らかとなった。このことは、ニッチ細胞の形成機構が雄雌で保存されていることを示唆している。この成果の一部は、論文投稿中である。
|