研究概要 |
本研究では、モデル動物であるマウスを用いて、GSC(配偶子幹細胞)である精子形成幹細胞と、それを制御するニッチ細胞、及びニッ値の場の実体を解明すること、具体的には以下の目的を達成することをめざして行われている(平成20年11月発足)。 1) マウスGSCの詳細を同定し、その性質を解明する。 2) マウスGSCニッチの細胞としての実体を解明する。 3) ニッチにおいて、GSCを制御する分子メカニズムを解明する。 4) 本領域の他の課題の成果との比較から、GSC/ニッチ・システムの共通原理とマウスの特殊性を解明する。 研究初年度の本年度は、1)について、GSCにより限局して発現する遺伝子の候補を用いて、幹細胞システムの構成を解析した。その結果、GSCを形作る細胞が不均一な集団であり, それが機能的に階層をなしている様子が、遺伝子発現を指標とすることにより、鮮明に浮かび上がった。また、2)については、ニッチ領域に特異的に発現する遺伝子の検索を開始した。実験条件の最適化が極めて重要であるため、そこに多くの時間と労力を費やし、実験系をおおむね確立するに至っている。 本研究は未だ緒に着いた所であるが、上記目的に向かって、着実に進展している。本研究の結果、生物学的に極めて重要な課題である、マウスGSC/ニッチ・システムが解明され、本領域の他の研究課題、すなわちin vitro系でのほ乳類GSCの解析系や、他種動物のGSC/ニッチ・システムとの比較がなされたならば、男性不妊に対する戦略や、畜産、水産学的応用への展開が期待される。
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