(1)詳細な移植実験によりGSCを機能的に同定し、これらの細胞をprospectiveに同定可能な分子マーカーを探索する。これには、GSCを高濃度で含むと予想される集団と、その他の精原細胞間でのマイクロアレイ解析を用いる。さらに、(2)これらのGSCの挙動を基に、GSCの維持、増殖に機能特化したセルトリ細胞、すなわちGSCのニッチ形成に貢献していることが予想されるセルトリ細胞を形態的に同定する。これらのセルトリ細胞を同定するために、本細胞で特異的に発現しているマーカー分子の探索をGSCマーカーの探索と同様のアプローチで行う。続いて、ここまでの研究で得られた情報を用いて単離したGSCおよびセルトリ細胞を用いて、(3)GSCのin vitro培養実験と、それに続くin vivoへの移植実験を組み合わせることで、単離したセルトリ細胞のニッチ形成能を明らかにする。また、ニジマスは明瞭な季節繁殖性を有するため、(4)これらのGSCとニッチ細胞の出現パターンの季節変化を、その数と生殖腺内における3次元的な位置に注目して明らかにする。なお(4)の解析は精巣のみならず(5)卵巣においても行うことで、哺乳動物では解析不可能な、雌性生殖腺におけるGSCおよびニッチ形成機構の解明にも迫る。
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