計画研究
本研究は、活性酸素を生成する酵素であるNADPHオキシダーゼ(Nox)ファミリーの活性化制御機構の時間的空間的な全体像を明らかするものである。平成22年度に私達は以下のような成果を得た。(1)Nox2活性化に必須の細胞質タンパク質であるp67^<phox>(Rac結合TPRドメイン、N末側SH3ドメイン、p40^<phox>結合PB1ドメイン、C末側SH3ドメインというドメイン構造をもつ)が、TPRドメインよりC末側の領域(活性化ドメイン:extended activation domain)を用いて直接Nox2に相互作用することで、Nox2のスーパーオキシド生成を誘導することを明らかにした。(2)Nox1活性化に必須の細胞質タンパク質であるNoxa1(N末側Rac結合TPRドメインとC末側SH3ドメインからなる)においても同様に、TPRドメインよりC末側の領域に活性化ドメインが存在すること示し、これがNox1の活性化に重要な役割を担うことを明らかにした。(3)p67^<phox>のN末端Rac結合TPRドメインと活性化ドメインが協調して働くため重要な分子構造を示すとともに、Nox2、p67^<phox>、およびRacの3者複合体を比較的大量に発現させる系を確立した。(4)Nox2はp67^<phox>とp47^<phox>により活性化され、Nox1はNoxo1とNoxa1により活性化されるが、一方Nox4はこれら細胞質タンパク質による制御を受けず恒常的に活性酸素を生成する。このような特異的な制御機構が、それぞれのNoxのC末端細胞質領域に依存することを明らかにした。(5)Noxのパートナー分子である膜タンパク質p22^<phox>との結合には、NoxのC末端細胞質領域が必要であることを示した。
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