計画研究
ミトコンドリアの生体維持機能は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)によって動的に制御されている。近年、mtDNAの酸化損傷およびそれに起因する活性酸素の過剰産生が、ガン、糖尿病、神経変性疾患など種々の疾病の発症、さらには老化にも関与することがあきらかにされ、疾病発症の共通基盤としてのミトコンドリア機能不全が注目されている。本研究では、心血管ストレス応答おけるミトコンドリア転写因子の役割、ミトコンドリア活性酸素シグナル制御の分子機序、心血管系のストレス応答におけるミトコンドリア酸化ストレスの役割をあきらかにした。ミトコンドリア転写因子Mitochondrial transcription factor A (TFAM)は、mtDNAの転写や維持に関与するが、本研究でTFAMは活性酸素の生成そのものを制御することがin vitro培養細胞とin vivo動物モデルの両実験条件下で証明された。さらに、TFAMはmtDNA合成には影響せずに、タンパクと結合しヌクレオイドを形成してmtDNAを安定化させるが、ミトコンドリアヘリカーゼであるTwinkleもmtDNAの複製を亢進させTFAM同様ヌクレオイドを形成することがあきらかとなった。ミトコンドリア活性酸素シグナル制御は、心筋リモデリング・心不全の発症・進展ばかりでなく、心不全に伴う骨格筋の機能障害や運動能力低下に関与することをあきらかにし、さらに、同様の病態がメタボリックシンドローム・糖尿病における骨格筋においてもみとめられることを見出した。以上のごとく本研究によってミトコンドリア活性酸素シグナル制御は、心血管系に対するストレス応答として幅広い心血管病の形成・進展に関与する重要な病態基盤であることがあきらかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件)
Eur J Nucl Med Mol Imaging
巻: 40 ページ: 349-355
10.1007
PLoS ONE
巻: 7 ページ: e30568
10.1371
Am J Physiol Heart Circ Physiol
巻: 302 ページ: H1202-H1210
10.1152
Mol Cell Biochem
巻: 359 ページ: 161-167
Circ Res
巻: 111 ページ: 1037-47
10.1161
Arterioscler Thromb Vasc Biol
巻: 32 ページ: 273-280