研究領域 | 活性酸素のシグナル伝達機能 |
研究課題/領域番号 |
20117005
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20231798)
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研究分担者 |
澤 智裕 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (30284756)
岩井 純夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50295276)
居原 秀 大阪府立大学, 大学院・理科研究科, 准教授 (60254447)
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キーワード | 活性酸素 / シグナル伝達 / プロテオーム / ストレス / 生理活性 |
研究概要 |
活性酸素シグナル伝達の分子機構は充分理解されていない。活性酸素・NOは、その最も上流に位置する分子群であるが、シグナル伝達機構の詳細(例えば、センサーと直接反応するのか?あるいは、二次メッセンジャーの生成をもたらすのか?など)は、これまでほとんど分かっていなかった。本研究では、生体の酸化ストレスに対する適応応答のシグナル伝達に関与するNOの全く新しい二次メッセンジャーとして発見された新規環状ヌクレオチド8-nitroguanosine3',5'-cyclic monophosphate(8-nitro-cGMP)の生体内生成メカニズムと、その活性酸素シグナル制御の分子基盤を明らかにすることを目的としている。本年度の研究成果を下記にまとめる。 1.神経系細胞における8-nitro-cGMPの生成:ラット初代培養アストロサイトにおいて、サイトカイン刺激によって8-nitro-cGMP生成が顕著に亢進することを明らかにした。 2.植物細胞における8-nitro-cGMPの生成:シロイヌナズナの上皮気孔細胞に、植物ホルモン刺激(アブシジン酸)によって8-nitro-cGMPが生成することを証明した。さらに、8-nitro-cGMPが気孔の開閉を制御するシグナル分子として機能することを見出した。 3.8-nitro-cGMP生成における活性酸素の役割:炎症性刺激した細胞においては、NADPHオキシダーゼとミトコンドリア由来の活性酸素が8-nitro-cGMP生成に重要であることを明らかにした。 8-nitro-cGMPによるS-グアニル化タンパク質の同定:ミトコンドリアタンパク質において、内因性の8-nitro-cGMPによってS-グアニル化を受けるタンパク質を新たに開発したプロテオミクス法にて同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
もっとも困難であると予想していた内因性の8-nitro-cGMP生成について、神経系初代培養細胞で成功し、さらに植物で初めて8-nitro-cGMPの検出に成功した。さらにそれら研究の展開として、8-nitro-cGMPの生体内生成におけるミトコンドリア由来活性酸素の役割を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成24年度は、蛋白質S-グアニル化による活性酸素シグナル伝達の統合的理解に向け、これまでに得られた成果を総括する。また、国内外の国際学会、シンポジウム等において、積極的に研究成果の情報発信を行うとともに、トップジャーナルでの論文発表を目指す。
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