計画研究
1)酸化シグナルの核内情報統合機構の解析私たちはこれまでにアミノ酸飢餓応答因子GCN1L1がNrf2と相互作用することを見出した。そこでU373MGグリオブラストーマ細胞を用いてGCN1L1がNrf2活姓化に果たす役割について解析した。酸化ストレスとしてジエチルマレイン酸および変性タンパク質ストレスとしてプロテアソーム阻害剤MG132を用いて実験すると、Nrf2はDEMおよびMG132により細胞内に著明に蓄積したが、GCN1L1をノックダウンした細胞においてはNrf2の活性化が観察されなかった。また、この時Nrf2のmRNAレベルでの発現量には顕著な変動はみられなかった。以上のことから、U373MGにおけるNrf2の酸化ストレス等による活性化は転写後のメカニズムによりGCN1L1依存性に行われていることが明らかになった。GCN1L1は酵母においてGCN2を介したアミノ酸飢餓応答に関与していることが明らかになっている。DEMおよびMG132によりGCN2が活性化したことから、GCN2がNrf2の翻訳制御に関わっていることが考えられた。2)Nrf2酸化シグナル応答系の疾患防御・発症における役割の解析U373MG細胞においてNrf2活性化剤であるカルノシン酸のNrf2標的遺伝子誘導機構を解析したところ、いくつかの標的遺伝子について、Nrf2に加えてATF4の活性が必要であることがわかった。Nrf2とATF4が相互作用して標的遺伝子の誘導に関与することが考えられた。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調にすすんでいるが、同定したNrf2標的遺伝子の解析について、in vivoでの解析が遅れている。また、核内における活性酸素の産生機構の解析が遅れている。
研究計画が多岐にわたっていたため、優先項目を推進してきた。来年度は最終年度となるため、優先して行ってきた項目を完成させるとともに、遅れていた部分について解析する。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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