研究領域 | 活性酸素のシグナル伝達機能 |
研究課題/領域番号 |
20117012
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鎌田 英明 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10233925)
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研究分担者 |
浅野 知一郎 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70242063)
中津 祐介 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20452584)
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キーワード | 腫瘍壊死因子 / ROS / ホスファターゼ / NF-κB / キナーゼ / 炎症 / JNK / 酸化ストレス |
研究概要 |
炎症応答の中心で機能する腫瘍壊死因子(TNFα)は、転写因子NF-kBの活性化を介して炎症性サイトカインの遺伝子発現を誘導すると共に、細胞内で活性酸素種(ROS)の産生を誘導して細胞内に酸化ストレスを生じる。産生されたROSはチロシンホスファターゼの活性を抑制することにより、このシグナル系を多様に制御する。一方、紫外線(UV)照射などの刺激も細胞内に酸化ストレスを発生させてNF-κBの活性化を誘導するが、これらのストレスによるNF-κBの活性化機能については不明であった。我々はTNFαなどのサイトカインはIκBαkinaseβ(IKKβ)によるIκBαのリン酸化と分解を介して転写因子NF-κBの活性化を誘導するのに対して、UV照射はIKKβ依存性ではあるがリン酸化には非依存的なIκBαの分解機構を明らかにしてきた。酸化ストレスに応答してIκBαは核内に移行するが、移行したIκBαは核内IKKβと会合する。IKKβはユビキチンリガーゼβTrCPと会合しており、この応答によりIκBαはユビキチン化をうけて分解され最終的にNF-κBが活性化される事が見いだされた。またp38やCK2などのキナーゼもIκBαの分解を促進することにより、NF-κBの活性化に相乗的に作用することを明らかにした。興味深いことに酸化ストレスに応答して活性化されたNF-κBは抗アポトーシス遺伝子の発現を抑制することにより細胞死を促進する作用を有していた。このような新規のNF-κBの活性化機構と生理的作用に興味が持たれた。
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