ATP 加水分解の各ステップに対応するポリリン酸分子おいて系のダイナミクス変化を記述する各種関数(自己拡散係数や回転緩和時間)を計算し、一部ではバルクより速い水の運動が見つかった。次に単原子分子イオン周囲で、これまで様々な既存の水モデルとイオンパラメタの組み合わせを検証し、バルクより速い水の運動が見いだせないことが確認した。そこでTIP5P モデルを修正した新たな水モデルを開発し、単原子分子イオン周囲でも速い水の運動を再現できるようになった。力場改善のためポリリン酸分子を中心に、電子状態の検討を含めた網羅的な計算を行った。タンパク質など巨大分子での溶媒効果計算を高速に行うための計算手法を発展させ、分子間相互作用の定量的な評価を行えるようになった。
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