本研究では、ABC トランスポータの機能発現機構を"水とATP の役割"の観点から研究し、次の成果を得た。1)ATP 及びその関連化合物の加水分解エネルギーは水和の効果によって~10kcal/mol 程度に収束する、2) 蛋白質-リガンド複合体形成の主たる駆動力は水の並進エントロピー(あるいは排除体積効果)である、3) ATP の結合自由エネルギーはヌクレオチド結合ドメイン(NBD)の2 量体化(power stroke)に変換される、4) NBD の2 量体化は、水和エンタルピーと水和エントロピーにより駆動されて起こる。
|