研究領域 | 水を主役としたATPエネルギー変換 |
研究課題/領域番号 |
20118007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
秋山 良 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60363347)
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研究分担者 |
徳永 健 工学院大学, 基礎・教養教育部門, 助教 (30467873)
吉森 明 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90260588)
久保田 陽二 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20639033)
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研究期間 (年度) |
2008-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 水和 / 誘電緩和 / 分子モーター / ハイパーモバイル水 / 分子シミュレーション / 熱力学量 / アクチン / 摩擦 |
研究実績の概要 |
平成24年度は、研究を押し進めて多くの論文を出版する事が出来た。特に重要な研究は、この新学術領域が開始されるきっかけの一つであるハイパーモバイル水の観測に関わる研究である。溶媒が溶質の存在によってどのように変化するかを動的な観点から研究した結果を国内外で多く発表した。特に、J. Chem. Phys.からの論文の出版と数件の国際会議における招待講演は重要な実績といえる。 従来の研究ではイオン周囲の水分子の動きが研究されて来ていた。少なくとも通常の水分子のモデルを採用した場合には、誘電緩和測定結果が示唆する様な動きの速い水分子は見出されていなかった。我々は、誘電緩和の速さと水分子の動きの速さが必ずしも相関するとは限らない可能性も考慮して誘電緩和の時間相関関数を分子シミュレーションを用いて評価した。その結果、いわゆる水分子の回転緩和などがイオン周囲では遅くなっているにも関わらず、誘電緩和は速くなる事を見出した。その数値も実験と非常に良く対応し、少なくともアルカリハライド水溶液で見出されているハイパーモバイル水に関しては、通常のシミュレーションで再現出来る事を示せたと考えている。以上の結果と考察は、溶液の誘電緩和観測の純溶媒との差に関する解釈方法、溶質の存在による溶媒応答が時間相関関数への影響に関して新しい視点を加える研究である。また、ハイパーモバイル水の描像を一新する結果である。 これ以外に、モーター蛋白の様な巨大な分子が溶媒の中で動く場合の摩擦の理論、溶媒和状態の変化による巨大分子の駆動のシミュレーション、ATP加水分解によるアクチン分子のトレッドミル運動の駆動仮説の研究を進めた。更に、ATPの加水分解時の部分モル体積をシミュレーションを用いて計算する為の手法を開発した。この部分モル体積の計算法に関しては、今後熱測定の解釈上重要となろう。
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現在までの達成度 (段落) |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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