水は生命の源であり、筋肉収縮を引き起こすミオシンなどあらゆる生体分子は水溶液中で機能発現する。ミオシンはATP分子の持つエネルギーを力学的なエネルギーに変換するが、変換メカニズムにおける水の役割は不明であった。本研究では、浸透圧変調条件にてミオシンエネルギー変換素過程を1分子レベルで観察し、浸透圧変調がもたらす水和状態変化とエネルギー変換機構との関わりを明らかにした。水の並進エントロピーによってミオシンとアクチンとの結合力が大きく変化し、ATPの化学状態変化に伴う水和・脱水和エネルギー変化が力発生にも大きく影響を与え、エネルギーの観点から水が重要な因子として働いていることが明確になった。
|