• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

F1-ATPaseモーターの機能における揺らぎと水和

計画研究

研究領域水を主役としたATPエネルギー変換
研究課題/領域番号 20118010
研究機関中央大学

研究代表者

宗行 英朗  中央大学, 理工学部, 教授 (80219865)

キーワードATP / 水和 / 分子モーター / F1-ATPase / 非平衡
研究概要

本研究ではF_1-ATPaseによるATPの加水分解自由エネルギーと回転運動の化学力学変換のメカニズムの理解とともに、水中でATPを加水分解して働く分子機械特有のダイナミクスに対する水和の効果を理解することを目的として研究を進めてきた.
所期の計画としては,1.温度と外部トルクの同時コントロールが可能な顕微鏡を用いた回転観察.2.γサブユニットが感じるポテンシャルの推定.3.DMSOの回転に対する影響についての実験.4.ヌクレオチドの熱力学的結合パラメータの決定.5.様々なヌクレオチドによる回転をα_3β_3γ複合体について解析.6.ストップトフローを用いた実験,等があったが,最も進んだのは2.の研究で回転のトラジェクトリから最尤推定を用いるという方法でポテンシャルの形だけでなく,ステップ回転をする時にポテンシャルが切り替わる位置の情報までもが得られ,今まで得られていた他の結果ときれいに整合するものとなったことにより,メカニズムの理解が一歩前進した.この件については投稿論文として発表することが出来た.その他4.に関しては着実にデータの蓄積がすすみ,近いうちに投稿論文にまとめられるものと考えており,5.の研究をその先の段階として進める準備が出来ている.
3.については,DMSO存在下にストールトルクが変化するという予備的な結果が得られていたが,実験担当者の交代により,実験精度が維持出来ない状態で,残念ながら肯定的な結果も否定的な結果も出ていない.
6.は予備的な結果が出たのみであるが今後の進展に悲観的な要素はないと考えている.
1.は,βE190D変異体で野生型とは異なる特徴的な外部トルク依存性が見られており,今後の発展が期待出来る.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

所期の計画では当然のことながら,うまくいきそうなもの,そうでないものを含め多くの計画を立てているため,その全てが計画通りという訳にはいかない.むしろ「研究実績の概要」に記した2.の計画が進み(これも当初考えていた方法とはかなり異なる方法での達成であった),投稿論文にこぎ着けられたこと4.が順調に進んだこと.1.も興味深い進展をしていることを考えると「おおむね順調に進展」と言って良いと考えている.

今後の研究の推進方策

計画の最終年度にあたるので,研究結果のとりまとめが中心になるが,並行して以下の実験を行う.当初の計画では顕微鏡の制御系の導入を計画していたが,それは23年度中にまとめて行うことができたので,基本的には完成した顕微鏡の運用を中心に実験を続行する.実験の内容としては,DMSOの回転に対する影響についての実験の続行,一分子観察における回転と温度,外部トルクとヌクレオチドの脱着の関係,等の結果を詰める,など結論を固めるための実験を行う.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Recovery of state-specific potential of molecular motor from single-molecule trajectory2012

    • 著者名/発表者名
      Shoichi Toyabe, Hiroshi Ueno, Eiro Muneyuki
    • 雑誌名

      EPL

      巻: 97 ページ: 40004-1-40004-6

    • DOI

      doi:10.1209/0295-5075/97/40004

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular dynamics simulation of outer mitochondrial membrane protein Tom20-presequence complexミトコンドリア外膜タンパク質Tom20-プレ配列ペプチド複合体の分子動力学計算2011

    • 著者名/発表者名
      小室靖明, 森貴治, 宗行英朗, 齊藤貴士, 神田大輔, 杉田有治
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      2011-09-18
  • [学会発表] PH dependency of photoelectric current of bacteriorhodopsin absorbed on Lumirror membrane2011

    • 著者名/発表者名
      宮崎師夫, 島谷部祥一, 上野博史, 宗行英朗
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      2011-09-18
  • [学会発表] The fast proton release of proteorhodopsin at low pH低pH条件下におけるプロテオロドプシンの速いプロトン放出について2011

    • 著者名/発表者名
      田母神淳, 菊川峰志, 下野和実, 奈良敏文, 宗行英朗, 加茂直樹
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] Single-molecule nonequilibrium thermodynamics of molecular motor分子モーターの1分子非平衡熱力学2011

    • 著者名/発表者名
      鳥谷部祥一, 上野博史, 宗行英朗
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] Simultaneous observation of fluorescent-nucleotides and rotation of F1-ATPase using plasmonic gold nanoparticle表面プラズモン共鳴を引き起こす金微粒子を用いた蛍光ヌクレオチドとF1-ATPaseの回転の同時観察2011

    • 著者名/発表者名
      上野博史, 島谷部祥一, 宗行英朗
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] Thermodynamic parameters of nucleotide binding to the catalytic sites of F1-ATPase. F1-ATPaseの触媒部位に対するヌクレオチド結合の温度依存性2011

    • 著者名/発表者名
      菊池洋輔, 中裕佑, 小酒部秀光, 宗行英朗
    • 学会等名
      第49回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      2011-09-16

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi