研究概要 |
自閉症・アスペルガー症候群など自閉症スペクトラム(ASD)は,表情からの感情理解や言外の意味理解が困難であることが多く,社会性認知に関わる障害および言語・非言語情報の統合・処理過程における脆弱性によるものと考えられている.自閉症の顔認知に関わる局所的な脳機能異常は,非侵襲的脳機能画像法によって主に研究されており,顔に対する特異的反応が健常児・者と同様に認められる一方,顔倒立効果や視線処理,顔の既知性認知の異常も報告されている. 本研究では,自他識別,表情,視線による事象に関連した脳電位(EEG)の検討を主に行い,健常小児から中学3年生(15歳)までの脳機能的な定型発達を明らかにすることと,発達障害のうちとくに顔認知が目立つ自閉症におけるコミュニケーション障害の解明と顔認知の特異性がもたらす二次的障害の予見を目指す.さらに,幼若期の脳損傷がもたらす顔認知の異常とその修復機転についても,明らかとしていく.その際,事象関連脳活動における周波数解析や近赤外線分光法による脳血流解析を併用し,様々な時間軸での脳機能解析をおこなう.
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