平成20年度においては本プロジェクトの実質的な活動期間は3ヶ月程度しかなかったため、今期は主として、次年度以降の研究遂行のために新規導入が必要と考えたリアルタイム視線検出装置の機種選定に取り組んだ。その結果、SR Research社のEye Link Remoteを調達して、その使用環境の整備を行った。また、領域班会議等の場を通じて、領域代表者や各計画班代表者との緊密な協議を重ねつつ、担当する計画班における研究方針の具体化、ならびに、次年度から開始する公募研究の重点テーマの選定とその公募に関わる広報活動を行った。 さらにこれらと並行して、先行して取り組んできた基盤研究(B)「顔と物体の高次視覚印象の予測モデルと共通的感性にもとつく造形デザインへの応用」において得られたいくつかの成果、具体的には、顔や車のボディ形状を対象に3D画像入力装置を用いて得られた3次元計測データから物体形状の多様性を表す3次元モーフィングモデルを構築し、当該モデルを用いて物体の視覚印象を操作することを目指す手法や、動画像から3次元物体の動的な変形を特徴抽出する手法など、本プロジェクトにおいて継承していくべき研究成果の評価・確認を行い、未解決な技術課題の抽出を行った。そしてそれらの結果をベースとして、以下に示す本プロジェクトの研究課題について検討に着手した。 [1] 顔の3次元形状を表す高次元ベクトルの自動抽出法 [2] 姿勢・視線・表情などによって生じる顔視覚像のダイナミックな変化と高次視覚印象の関係のモデル化 [3] 顔視覚像の全体情報と特定の造作に対応する部分情報とが高次視覚印象に与える影響の測定 [4] 顔視覚像に対する高次視覚印象の心理量を効率的に求める方法 [5] 顔視覚像の物理的パラメータ表現から高次視覚印象の心理量への柔軟な対応付けの実現
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