研究領域 | 東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト |
研究課題/領域番号 |
20120004
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
神谷 秀博 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20183783)
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研究分担者 |
並木 則和 工学院大学, 工学部, 准教授 (40262555)
和田 匡司 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (00413766)
塚田 まゆみ 東京農工大学, 大学院・工学府, 技術職員 (70376870)
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キーワード | 浮遊性粒子状物質 / 固定発生源 / PM2.5/PM10 / 凝縮性SPM / バーチャルインパクター / 希釈器 |
研究概要 |
東アジア域における工場・廃棄物処分場など固定発生源を対象に、凝縮性物質を含む浮遊性粒子状物質の排出状態の解明を目的に、2種類の排出挙動計測システムを構築し、ISOなど国際標準化を進めるとともに、構築したシステムを用い、実際の燃焼プラント排ガスでの計測を実施した。第一の測定法として、Virtual impactorを用いた煙道中で粒子化したPM2.5/PM10の分離・計測法は、ISO化(ISO13271)がほぼ確定し、2012年中に公開されることがほぼ確定した。この方法はJIS化も進んでおり、普及に必要な分離性能の評価法も確立した。また、日本の重油・LNG混焼プラント、及び電力中央研究所の微粉炭燃焼プラントで測定を行い、燃料種、排出国が異なる条件でのPM2.5/PM10の排出濃度データ、及び各試験プラント、及びこれまで捕集したPM2.5,PM10を用い、組成の粒度依存性を検討した。第二の方法である希釈器による凝縮性ナノ粒子の計測法は、米国ASTM、カナダCANMET提案の二種類の構造を基本に試作した希釈器を用い、石炭燃焼試験炉、重油・LNG混焼プラント排ガスの実燃焼排ガスを対象に、煙道中で生成している粒子を、(1)フィルターでほぼ除去、(2)Virtual impactorによりPM2.5のみ分離、の二種類の方法で希釈器に導入し、希釈器から排出する気流中の粒子の粒度分布等を測定した。PM2.5の存在による希釈過程での凝縮性ナノ粒子の生成状態が、燃料種により異なることが確認された。この結果に基づき、実験室で、煙道中で生成しているPM2.5のモデル粒子として球形シリカ粒子を、凝縮性成分としてCd蒸気を用い、シリカの濃度、粒子径、凝集状態による個数濃度、表面積濃度への影響を体系的に検討した。大規模環境シミュレータへの計測結果の導入法について、他班、連携者と検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
順調に研究計画通り、PM2.5/PM10、及び凝縮性ナノ粒子の計測法の確立とその実プラントでの計測のデータ蓄積が進み、他班などとのソース・レセプター解析法や、必要な粒子径ごとの組成分析が順調に進んでいるとともに、本研究で開発した固定発生源からのPM2.5/PM10の排出濃度測定法がISO13271として、今年中に公表される見通しとなり、JIS化も並行して進み、我が国発の測定法の標準化に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
測定方法に関しては、PM2.5/PM10の質量濃度、凝縮性ナノ粒子とも標準的な方法が確立でき、ISO化も進んだことから、今後は、これらの方法の国際的な普及を目的とした国際連携による測定を、中国・清華大学、マレーシア工科大学、ウイーン大学等との連携で進める。また、捕集した粒子組成の粒子径依存性の分析とソース・レセプター関係の解析を他班及び新たに参画する分担者との連携により促進する。当初の計画になかった測定法である表面積濃度についても、モニタリング法として有効であるが、環境計測などに比べ外乱の要因が多い固定発生源での計測に耐える構造を検討し、粒子凝集の影響など諸要因を検討する。
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