計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
人為的発生源の中で、エアロゾル排出特性に関する研究が極めて少ない工場、廃棄物処理場、発電所等の固定発生源を対象に、発生源別のナノからミクロまで無機成分のスペシエーションも含めた粒子生成及び環境中への排出機構の解明を行う。燃料組成、燃焼条件、排出防止設備のレベル等によりエアロゾルの発生、環境中への放散機構が著しく異なるため、化石燃料、バイオマス、廃棄物等の燃焼システムを対象に、様々な汚染物質除去レベルを想定して大気中への放散状態、その機構を解明する。固定発生源からのエアロゾル排出機構は、第一に、煙道中までの過程で粒子化し集じん装置を通過して排出される粒子で大きさが2.5μm以下のPM2.5、第二に、煙突から大気放散時に凝縮してナノ粒子化する凝縮性粒子がある。各機構での粒子の生成・放散量、排出時の形態解析が可能でISOなど国際標準法となり得る計測システムを構築する。PM2.5/PM10の計測法は、バーチャルインパクタを用いた方法をウイーン大学のSzymanski教授と共同開発する。第二の排出機構である凝縮性ナノ粒子の計測法は、大気放散状態を模擬する希釈器の設計と希釈条件の確立が重要な課題となる。凝縮性粒子用にはISO化が検討されており、候補となる米国ASTMが検討している構造と、カナダCANMETが提案している二種類の基本構造をもとに、詳細な流体力学計算等による構造設計を行う。実験室でカドミウム蒸気を含むモデル排ガスを用い、構造が異なる希釈器を用いても生成するナノ粒子の粒度分布がほぼ一致する希釈条件を求める。構築したシステムにより、大気汚染防止装置のレベルが異なる東アジアの状況に対応した実験室でのモデル排ガスから試験炉、パイロット、商用機まで規模の異なる燃焼設備の排ガスを用い、エアロゾル生成・排出状態を評価・解析する。また、湿式法により排ガス中の凝縮性成分を液中捕集し、ICP-MSにより微量成分を分析して凝縮性SPMの生成挙動との関係を検討する。以上の結果を、本新学術領域研究の自然界由来の排出データ等と組み合わせ大規模解析を実施し、植物、健康への影響を評価・解析することで、発生源と受容域との関係を定量的に求め、人為発生源での排出量抑制、規制値策定等の科学的根拠の構築を最終的な目的とする。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://www.tuat.ac.jp/~aerosol/