研究領域 | 東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト |
研究課題/領域番号 |
20120007
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
兼保 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (00356809)
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研究分担者 |
佐藤 圭 独立行政法人国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 主任研究員 (10282815)
松見 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (30209605)
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キーワード | 環境変動 / 環境分析 / 大気現象 / 大気エアロゾル / 健康影響 |
研究概要 |
2009年3月から福江島・福岡市などわが国の風上域で通年のPM_<2.5>測定を開始し、3月下旬~4月上旬にはエアロゾル化学組成に関する第1回目の集中観測を実施した。さらに、10月からは長崎市でもPM_<2.5>測定を開始するとともに、AO2-P7班の航空機観測と同期して秋期の集中観測を実施した。この結果、春秋の輸送イベント時には、2009年9月に設定された環境基準値を大幅に超える濃度のPM_<2.5>が頻繁に観測され、その組成は硫酸塩、次いで粒子状有機物の寄与が大きいことがわかった。福江島と福岡市でのPM_<2.5>濃度レベルはほとんど変わらず、九州北部では春秋のPM_<2.5>濃度は基本的に長距離輸送に支配されていることが判明した。 春期の輸送で特徴的であったのは、粗大粒子領域で硝酸塩濃度が非常に高く(>20μgm^<-3>)、微少域でも5μgm^<-3>程度の濃度を示した点である。これに対して、秋季の輸送においては硝酸塩はマイナーな成分であり、福江島・辺戸岬での濃度は0.5μgm^<-3>以下であった。秋期には低圧型多段インパクター(LPI)によるエアロゾルの粒径分布も取得し、微小領域において化学組成毎の粒径分布を測定できるエアロゾル質量分析計(AMS)の果と併せて、硝酸塩の粒径分布の特徴の解析を始めている。また、2010年3月からは、高感度のNO_2,SO_2の計測装置と、YAGレーザー光源に換装したレーザー蒸発型エアロゾル質量分析計を福江島に運び、AMS等と同時運用して春季の集中観測を開始した。 福江島、辺戸、福岡市で春期と秋期の集中観測時にハイボリューム・エアサンプラーにより捕集した多感芳香族炭化水素類(PAHs)の分析結果より、PAHsは黒色炭素(BC)濃度と良い相関を示した。これを用いて、発がん性が指摘されているベンゾaピレン(BaP)の通年濃度変動をBC濃度測定値から推定した。また、重金属など微量成分の化学組成分析のため、ハイボリューム・エアサンプラーに装着して使用可能なインパクター型分級器(HVI_<2.5>)を開発し、集中観測で使用するとともに、実用新案として出願した。
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