計画研究
現在の所、アジア大陸から越境輸送されるサブミクロンサイズのエアロゾル粒子が植物の成長や生理機能などに対する長期的な影響は明らかにされていない。そこで、本研究では、ブナ、スダジイ、カラマツおよびスギの苗木に対するサブミクロンサイズの硫酸アンモニウム粒子の影響とその樹種間差異を解明することを目的とした。2011年4月に、鹿沼土を詰めた2 Lのポットに各樹種の苗木を植栽した。各樹種の苗木をエアロゾル暴露チャンバー内に配置し、硫酸アンモニウム粒子の暴露を行わない対照区と硫酸アンモニウム粒子の暴露を行う硫酸アンモニウム暴露区で育成した。硫酸アンモニウム粒子の暴露は、2011年6月3日~2012年10月8日の2成長期において、1日1回(30分間/日)、超音波力型粒子発生装置を用いて行った。2012年10月におけるブナ、スダジイ、カラマツおよびスギの苗木の個体乾重量, 樹高および根元幹直径に硫酸アンモニウム粒子の暴露による有意な影響は認められなかった。また、ブナ、スダジイおよびカラマツの純光合成速度に対する硫酸アンモニウム粒子暴露の有意な影響は認められなかった。2012年7月と9月におけるスギ当年葉の純光合成速度は、硫酸アンモニウム粒子の暴露によって有意に増加した。これに対して、同時期におけるスギ旧年葉の純光合成速度は硫酸アンモニウム粒子の暴露によって有意に低下した。スギの葉における硫酸アンモニウム粒子の沈着量は、他の3樹種のそれに比べて多かった。また、硫酸アンモニウム粒子の暴露によって、スギ当年葉のアンモニウムイオン濃度、全遊離アミノ酸濃度および全可溶性タンパク質濃度が有意に増加した。したがって、スギ当年葉においては、葉面に沈着した硫酸アンモニウム粒子が潮解し、アンモニウムイオンが葉表面から葉内に吸収され、アミノ酸に同化され、光合成酵素の合成などに利用されたと考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
Asian Journal of Atmospheric Environment
巻: 6 ページ: 259-267
http://dx.doi.org/10.5572/ajae.2012.6.4.259
巻: 6 ページ: 268-274
http://dx.doi.org/10.5572/ajae.2012.6.4.268
巻: 6 ページ: 275-280
http://dx.doi.org/10.5572/ajae.2012.6.4.275
http://www.tuat.ac.jp/~aerosol/