研究領域 | 東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト |
研究課題/領域番号 |
20120011
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
原 宏 東京農工大学, 農学部, 教授 (60106226)
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研究分担者 |
高柳 正夫 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50192448)
木村 園子ドロテア 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60397015)
大河内 博 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00241117)
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キーワード | 乾性沈着 / エアロゾル / 鉛直プロファイル / 森林 / 林内雨-林外雨法 / 葉洗浄法 / オープンパスFT-IR / インファレンシャル法 |
研究概要 |
乾性沈着の影響を考究する際、森林生態系の層の厚さ中での挙動の解明が不可欠である。本研究では,森林に対するエアロゾルの乾性沈着量の推定法による評価を基本として,実用的な評価方法を開発することを目的としている. 平成22年度では継続的観測と集中観測を実施し以下の結果を得た。 1)粒径1.0-2.0pmのエアロゾルは43.2%が樹冠により捕捉されたことが明らかになった。また、森林樹冠による粒子状PAHsの捕集効率は21~96.8%であった。 2)オープンパスFTIR分光法により、二酸化炭素は高度15m以下で濃度が高いことが示された。しかし、ブラックカーボン(BC)については、明確な高度依存性は観測されず、他の因子との相関も認められなかった。 3)コナラの葉面積あたりのBC量は、樹冠部で最も大きく、下に行くに従い小さいことが示された。また、いずれの高度でも時間の経過とともに増大する傾向が認められた。 4)濃度勾配法によるBCフラックスと葉面洗浄法によるフラックスと比べると洗浄法の値は勾配法の1/3から2/3を占めていた。また森林内のBCの大気濃度プロファイルは一定とみなされた。 5)緩和渦集積(REA)法とローボリュームエアーサンプラーによるPM2.5成分濃度をくらべた結果、粒子状SO_4^<2->で、REA濃度がやや高めになっているが、粒子状NO_3^-で良い一致がた。 6)酸性含浸濾紙は、表面の濡れの有無によりSO_4^<2->沈着量に大きく差は見られなかった。一方、ガス状および粒子状の硫黄酸化物が沈着する中性濾紙においては、濡れ有の方でSO_4^<2->沈着量が大きくなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測施設の充実、重点的な観測により、多くのデータが集まり、エアロゾル沈着のモデル提出に向け、情報が集約されつつある。観測結果により、数多くの研究発表を行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
超音波風速計等の測定値から乾性沈着速度の見積もりが可能になったので、濃度勾配法により、ブラックカーボンについて乾性沈着量の評価を経常的に行う。また、エアロゾルの濃度の鉛直プロファイルを風速など種々の、気象パラメータのそれと比較・検討し、乾性沈着モデルの検討を行う。 観測タワー、林内等での経常観測:高さ30mの観測タワーを利用して、樹高20mの森林について0-30mの高度に対する濃度プロファイルを10分程度の時間分解能で経常的に測定する。実際の樹木の種々の高度における葉を観測タワーから直接採取し、葉面に沈着したエアロゾルを洗浄法で季節的に測定する。 当該期間の温度、湿度、葉面積指数など植物生理と関する量を測定する。 エアロゾルとガスの集中観測:昨年度と同様、夏期、秋期にエアロゾルとそれに関するガスの測定を研究分担者全員で行い、エアロゾルの高度分布と実葉への沈着量との関連を解明する。葉面へのブラックカーボンの沈着の測定も行う。 P11などとの連携観測:高さ30mのタワーを利用して、P11が渦集積法による乾性沈着量の観測を行う。このとき、P10も同期した観測を行い多角的にデータの解析を行う。P08、P09と連携し、暴露試験に供するポット植えの試料樹木をタワーに設置し、当該実葉についてブラックカーボンを洗浄法で測定し、P08,P09の成果と突き合わせて考察する。
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