研究領域 | 東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト |
研究課題/領域番号 |
20120012
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
松田 和秀 明星大学, 理工学部, 准教授 (50409520)
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研究分担者 |
佐瀬 裕之 酸性雨研究センター, 生態影響研究部, 上席研究員 (20450801)
村尾 直人 北海道大学, 工学研究科, 准教授 (00190869)
林 健太郎 農業環境技術研究所, 物質循環研究領域, 主任研究員 (70370294)
野口 泉 北海道環境科学研究センター, 環境科学部, 環境科学科長 (10442617)
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キーワード | 乾性沈着 / エアロゾル / ブラックカーボン / 沈着速度 / 濃度勾配法 / 東アジア / 森林生態系 / 熱帯林 |
研究概要 |
平成21年度は、東アジアの熱帯、温帯、寒帯にそれぞれ属したサケラート(タイ)、北佐久(長野)、天塩(北海道)の森林調査地点と真瀬(茨城)の対照調査地点(水田)でエアロゾル沈着の測定を実施した。さらに、同研究項目(植物影響班)においてブラックカーボン(BC)の樹木への暴露実験が行われていることを踏まえ、フィールドにおいてBCの沈着を測定する手法の検討を行った。 北佐久、天塩、真瀬において、濃度勾配法によるエアロゾルフラックスの集中観測を実施した。いずれの植生においても、エアロゾルフラックスは概ね沈着の傾向を示し、粒子生成等に起因する顕著な放出は見られなかった。北佐久において観測された硫酸塩粒子の沈着速度を解析した結果、森林のエアロゾル沈着メカニズムは草地とは大きく異なることが示唆された。さらに、森林へのエアロゾル沈着推計に適したパラメタリゼーションを選定することができた。サケラートでは、平坦で一様な乾燥落葉林に観測鉄塔等の設備を整備し大気観測を開始すると共に、集水域をもつ乾燥常緑林において集水域調査を実施した。大気観測の項目は、気象、微気象、エアロゾル成分濃度(無機イオン、重金属、BC)である。また、林内雨林外雨法を応用したBC沈着量測定法を検討した。林内雨と林外雨でBC沈着量の明確な差が見られ、本手法でBC沈着量が推計可能であることが分かった。 東アジアにおいて植生表面へのエアロゾルフラックス観測は、これまでほとんど実施されておらず、貴重な知見とデータを蓄積しつつあるといえる。
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