計画研究
サンゴ礁は、地球規模(温暖化による水温上昇,海洋酸性化等)と地域規模(陸源負荷等)両方のストレスによって近年急速に衰退していることが指摘されている。しかしながら、現地の情報は断片的で定量性に欠けており、実海域でのストレス低減に関して具体的な数値を示すことができない。本研究においては、客観的なデータ(空中写真、衛星データ、地図、報告書データ、サンゴ年輪解析データ)に基づいて過去100年間のストレス要因とサンゴ礁の歴史的変化を統一的に解析し、さらに負荷の程度の異なる地域を比較することにより、ストレスの増加とサンゴ礁の衰退を検証する。1924年から現在にかけて土地利用図、空中写真、衛星データ、農業センサスの収集とデータベース化を行った。また、土砂流出モデルのプロトタイプを作成し、流入負荷の推定を行った。これらにより、1924年から現在までの土地利用変化とそれに伴う土砂流出の変化と、1945年から現在までのサンゴ礁の変化の解析が可能となる。海域においては、化石と現在の塊状のサンゴからコアを採取し、骨格中に含まれる蛍光、同位体比、微量金属、密度に関する分析を開始した。現在のサンゴから採取されたコアにより50年程度前から現在までの環境変動と密度変化の解析が可能となる。また、化石サンゴは4000年前~3000年前の年代を示し、当時の海面と環境の復元が可能となる。こうした分析を効率的に行うサンゴコアセンターを北海道大学に設立した。現在のサンゴの年輪分析を完了し、土地利用変化の解析結果を統合し、年輪に記録されている蛍光強度及び窒素同位体比が降水量及び土地利用(裸地面積)の変化を反映している可能性を示した。
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