研究領域 | サンゴ礁学-複合ストレス下の生態系と人の共生・共存未来戦略- |
研究課題/領域番号 |
20121004
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
山野 博哉 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (60332243)
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研究分担者 |
長谷川 均 国士舘大学, 文学部, 教授 (80208496)
渡邊 剛 北海道大学, 理学研究院, 講師 (80396283)
井上 麻夕里 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20451891)
鈴木 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (60344199)
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キーワード | サンゴ / ストレス / 複合影響 / 画像解析 / サンゴ年輪 / 地球温暖化 / 土地利用変化 |
研究概要 |
サンゴ礁は、地球規模(温暖化による水温上昇,海洋酸性化等)と地域規模(陸源負荷等)両方のストレスによって近年急速に衰退していることが指摘されている。しかしながら、現地の情報は断片的で定量性に欠けており、実海域でのストレス低減に関して具体的な数値を示すことができない。本研究においては、客観的なデータ(空中写真、衛星データ、地図、報告書データ、サンゴ年輪解析データ)に基づいて過去100年間のストレス要因とサンゴ礁の歴史的変化を統一的に解析し、さらに負荷の程度の異なる地域を比較することにより、ストレスの増加とサンゴ礁の衰退を検証する。 1924年から現在にかけて土地利用図、空中写真、衛星データ、農業センサスの収集とデータベース化を行った。また、土砂流出モデルを作成し、流入負荷の推定を行った。これらにより、1924年から現在までの土地利用変化とそれに伴う土砂流出の変化と、1945年から現在までのサンゴ礁の変化の解析が可能となった。海域においては、化石と現在の塊状のサンゴからコアを採取し、骨格中に含まれる蛍光、同位体比、微量金属、密度に関する分析を行った。現在のサンゴから採取されたコアにより50年程度前から現在までの環境変動と密度変化の解析が可能となった。また、化石サンゴは4000年前~3000年前の年代を示し、当時の海面と環境の復元が可能となった。こうした分析を効率的に行うサンゴコアセンター(http://ccc.sci.hokudai.ac.jp/Coral_Core_Center/Welcome.html)を北海道大学に設立し、運営を行っている。また、海域においては1980年代から現在までの衛星データを解析し、サンゴ被度が113程度に減少していることを明らかにした。これらを統合し、年輪に記録されている蛍光強度及び窒素同位体比が降水量及び土地利用(裸地面積)の変化を反映しており、陸域の変化がサンゴ礁の衰退を引き起こしている可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像解析とコア解析により、陸域の変化がサンゴ年輪に記録されており、さらに陸域の変化がサンゴ礁の衰退を引き起こしている可能性を示すことができ、当初予定のストレスとサンゴ礁の変化の歴史的復元に関する見通しを立てることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
画像解析によって明らかになった土地利用変化と、サンゴ年輪分析結果とサンゴ礁の変化の関係を定量的に解析し、ストレス増加のタイミングと閾値を示す。こうした結果の解釈には、A班で行っている実験結果を用いる。また、C班で行っているモデル予測の結果の検証に用いる。
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