景観は多義的な概念だが、今みる景観を人間の営為と自然の営力の絡み合いが生み出した歴史的産物として位置付ける。そのためには人文社会科学と自然科学を連接し、人間と自然の相互関係の複雑な連鎖をテーマとする歴史生態学的視点が役立つ。本研究では、その学際的な枠組みを基盤としながら、サンゴ礁-人間系の動態的な関係を通時的に把握することを目的とする。そのために、歴史とフィールドワークを共通項とするジオアーケオロジー、動物考古学、形質人類学、歴史人類学、文化人類学の諸学が連携しながら、オセアニアの環礁と八重山諸島石垣島を協働のためのフィールドと設定し、人為的ストレス(人間社会→サンゴ礁)とローカルな生態系サービス(サンゴ礁→人間社会)の2つのテーマに沿って、長期・短期のタイムスケールで4トピック(進捗状況参照)の研究をすすめる。さらに、各成果を総合することによって、「絡み合う人と自然の地域史」の描出をおこなう。
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